リサイクル工場振動フィーダー稼働時の障害対策
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- 複合的な対策により建物全体の振動問題を解決
- 廃棄物の仕分けをする振動フィーダー(※)稼動時に、建物全体が水平方向に大きく振動し、問題となっていた。
この解決策として複合的な振動対策が実施され、結果、問題の無いレベルに振動を低減することができた。
(※)振動フィーダー:振動現象を利用した搬送機器
振動発生状況
S造5階建てのリサイクル工場2階に設置された廃棄物の仕分けをする振動フィーダーが稼働すると、振動影響により建物全体が水平方向に大きく揺れ、特に2階の振動が大きく、柱際ではフィーダー全機50Hz運転時に最大で407Gal(7.7Hz)に達していた。
フィーダー配置図を【図1】に、振動フィーダー稼働時の実測振動モード図(柱部)を【図2】に示す。
【図2】より、振動フィーダー稼働時は2階部分(柱長さの中央部)がモードの腹となり、特にX方向において大きく振動している様子が確認できる。
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図1. 2F平面図とフィーダー配置、及び振動測定点
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図2. 柱部の振動モード図
対策内容
対策後の目標値(振動加速度)として60Galが設定され、これをクリアするための対策検討を重ねた。その結果、下記に示す ① ~ ③ の総合的な対策が必要と判断され、順次効果を確認しながら実施することとなった。
① (構造対策) 建物鉄骨柱(角パイプ)へのコンクリート充填
② (防振対策) 振動フィーダー既設防振スプリング交換
③ (制振対策) 2Fに反共振型水平TMD設置(5tonマス×3台)【図3】
※③:反共振型TMDについて (TMD:Tuned Mass Damper(動吸振器))
TMDにより構造物の振動モードを抑制する場合、通常は最適同調型として一定の減衰(ダンパー)を付加し、対象周波数近傍において発生する増幅帯域を最小限に抑える必要があるが、機械振動による強制加振成分など、特定周波数成分のみが先鋭に卓越する場合、反共振型としてダンパーを付加しないTMDを適用することがある(⇒対象周波数に対する低減効果が非常に高い)。但し、効果が得られる周波数範囲が非常に狭いため、卓越周波数が変動しないことが適用条件となる。
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図3. 水平TMD配置図
対策後の効果
対策前後のスペクトルグラフを【図4】に、7.7Hz成分の振動加速度値(0-P)を【表1】に示す。
対策の結果、2F柱際の水平振動は対策前407Galであったのに対し、上記の① ~ ③ 全ての対策実施後には、19.4Galと約1/20まで低減し、目標値60Galを大幅にクリアすることができた。
対策内容 | 振動加速度 0-P(GAL) | |
---|---|---|
(対策前) | 407.0 | |
対策① | 柱コンクリート充鎮後 | 84.5 |
対策② | 対策①+スプリング交換後 | 41.6 |
対策③ | 対策②+TMD設置後 | 19.4 |
表1. 2F柱際の振動加速度(7.7Hz成分)
図4. 2F柱際の振動加速度スペクトル