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振動ふるい機設置床に対するTMD制振対策事例

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振動ふるい機の床上振動対策として制振装置を設置
工場から200m離れた民家において振動ふるい機が原因と推測される環境障害が発生していた。これよりまず、振動ふるい機設置床の振動を低減を目的として、制振装置-TMD500kgfタイプ×4台を設置した。制振装置の調整を行った後、制振装置の作動・非作動時の振動計測を行い、ふるい機設置床における効果確認を行った。

対策のポイント:実際のトラブル現場における対応の難しさ

このような事例に多いが民家側での調査が難しく約200m離れた民家内の『現象の詳細』及び工場内にある多数の装置との因果関係の確認ができない状況であった。事前の調査で多数ある装置の中で低周波音、振動とも群を抜いて大きく(17Hz成分)、最も民家に近い振動ふるい機1台に対して、まず振動対策を施すことになり、制振による対策を行った案件である。

対策:制振装置(TMD)を4台設置

振動ふるい機の正面側(民家側)の床上振動を低減させるため、制振装置(TMD)を4台設置し、制振装置の作動状態・非作動状態で振動計測を行い、効果確認を行った。

■TMD作動・非作動時の振動比較 (確認場所:TMD設置床)
振動ふるい機運転状態においてTMD作動時(ON)及び非作動時(OFF)時の床上振動加速度を計測し、対象17Hz成分について低減効果を確認した。結果を下記に示す。 (図1グラフ参照)

・TMD-OFF:96.1dB
・TMD-ON:90.0dB
・低減効果:6.1dB

これより、TMDによってふるい機の振動影響(17Hz成分)は約6dB低減し(1/2)、検収条件(契約条件)を満足していることを確認した。

  • 図1:TMD設置点における比較結果<TMD-ON⇔OFF>

  • 図2:TMD設置状況

対策前後の振動モード形状

振動ふるい機運転時の床振動モード(17Hz成分)をアニメーション化した。(図3:TMD非作動時(OFF)、図4:TMD作動時(ON))
なお図中、ふるい機は測定点A、D付近に位置し、対象民家はTMD設置位置の方向(-Y方向)に位置する。

  • 図3:設置床におけるモードアニメーション:TMD非作動(OFF)

  • 図4:設置床におけるモードアニメーション:TMD作動(ON)

図3.4より、TMDを作動すると元々大きかったTMD設置側(民家側)の振動が低減している様子がわかる。
しかし、A点及びD点(ふるい機の脚部付近)ではTMD作動時に逆に振動が大きくなっていることが図よりわかる。A点及びD点付近は開口に近く、剛性が低いため振動増幅が起こったと考えられる。
また、TMD4台を同様に調整すると上階への鉄骨階段や上階の装置などで振動増幅が生じることも判明した。
これらのことを踏まえ、TMDの再調整を実施した。調整では4台の固有振動数を少しずつずらす方法<マルチTMD-ロバスト調整>を採用し、検収条件(TMD位置において-6dB)を満たしつつ、上階その他の増幅を最小限に抑えることができた。

工場周辺における対策効果

後の調査で対象民家と同程度の距離にある隣接工場内でもTMDの制振効果を確認できた。これより対象民家においても同様に振動が低減しているものと推定されるが、しかし残念ながら、聞くところによると民家内で発生している現象については完全に解消されていないようである。
トラブル現場でもあり対応が難しいところではあるが、今回の件より、現象発生場所における測定データも取得し、発生源との因果関係を十分検討の上、障害要因や必要な対策レベルを突き止めていくプロセスがいかに重要であるかを改めて感じる結果となった。

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