天吊りエアコン室内機による机上振動への防振対策
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- 天吊りエアコン室内機の運転に伴う有感振動への対策
- 既存ビル12Fクリニックの診察室机上において、階下天吊りエアコン室内機の運転に伴う有感振動が発生していた。この有感振動に対し、エアコン本体の既存防振ゴムをより性能が高いスプリング防振に交換する対策が行われ、机上振動は低減した。

対策のポイント:スプリング防振への変更による大幅な振動低減効果
当初、対策はエアコン本体の防振材交換と同時に、診察室机の補強も行うことが考えられていたが、対象のエアコン2台をスプリングハンガー(HSS型)で支持しただけで机上振動は大きく低減した。この大きな対策効果により机への対策は行わないまま障害は解消した。
原因:既存のゴムハンガーでは殆ど防振効果が得られず、診察室机はデザイン上揺れやすい形状
問題となっていた診察室机上の有感振動は、階下エアコン室内機(防振ゴム支持)の運転に伴い発生し、14Hz成分が卓越(図1)、振動レベルはVL‐74と非常に大きい値であった。 卓越周波数が防振ゴムの固有振動数に近いことから既存のゴムハンガーでは殆ど防振効果が得られていないと考えられた。また、診察室机が機能性、デザイン性は高いが揺れ易い片持ち形状をしており、机の固有振動数もエアコンのピーク周波数に近いことが判明した(図2)。
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図1:エアコン運転時の机上振動スペクトル
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図2:診察室机の固有振動数
対策:スプリング防振への交換
防振対策と共に、揺れ易い形状である机側の補強対策も実施する予定であったが、まずは対象であるエアコン室内機2台の本体吊り支持を防振ゴムハンガー(図3)からHSS型スプリングハンガー(図4)に交換する対策を行った。
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図3:対策前のゴムハンガー防振
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図4:対策後のHSS型スプリングハンガー防振
効果:机側の対策は不要なまでに振動は低減、ビルオーナーもこの結果に大変満足された
対策前後の診察室机上振動比較を図5に示す。対策前には主要成分16Hz帯(1/3オクターブバンド)が非常に大きく突出していた。そして防振ハンガーの交換対策により、振動レベルは対策前のVL-74から20dB以上低減して対策後はVL-56に収まっている。 通常、ゴムからスプリングに交換してもその低減効果はせいぜい10dB程度でしかないが、 今回20dB以上と大きく低減しており体感振動は劇的に小さくなっている。このように想定を超える効果が得られたことから、機器への対策と同時に考えられていた机側の対策は不要と判断された。ビルオーナーもこの結果に大変満足された。
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図5:対策前後の机上振動比較