液晶基板検査装置のアクティブ除振対策
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- 対策背景
- 大型液晶基板検査装置(測長機)の設置に際し、設置床の振動環境を事前調査したところ許容値を超えていた。本測長機は光学的にパターンの線幅を観測するもので振動環境に対して敏感なため、エアサーボアクティブ除振装置で対策を行った。

装置設置場所の床振動環境
液晶パネル類の製造は、クリーンルームで行われ振動環境はおおむね悪い。本件の設置場所において、アクセスフロア上はもちろん、それを支持している躯体も条件を満足していなかった。床の固有値は5Hz近傍にあり、鉛直方向において許容値オーバー、さらに上層階であったため、水平方向においても建物自体の水平固有値1.5Hz近傍で許容値をオーバーしていた。このような場合、風や周辺の交通振動等の地盤からの外乱、建物内に多々ある加振源により、さらに振動は大きくなることが予想され、十分な対策をとることとした。また対象となる液晶基板検査装置は、内部に大きな移動体を持っており、常に重心変動が発生する。弾性体で支持すると装置全体が大きく傾き、歩留まりに影響を与えることも対策には考慮を加えた。
図1~3に事前の振動測定データ(トリパタイトグラフ)を示す。
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図1:設置場所の床振動 (トリパタイトグラフ) X方向
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図2:設置場所の床振動 (トリパタイトグラフ) Y方向
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図3:設置場所の床振動 (トリパタイトグラフ) Z方向
除振装置に求められる性能
図1~3より、このケースでは除振を要する周波数帯域が1~6Hzと低く、パッシブ系ではむしろ増幅域となるためアクティブ除振が採用された。また、質量の大きなステージがX、Y方向に移動するため、ステージが停止した後、速やかに振動収束することがスループット上要求される。除振性能だけでなくアクティブ制御による制振性能も期待された。図4~5はステージ稼動時の除振装置定盤上の振動変位である。重心移動及び慣性力による変位が速やかに収束していることがわかる。
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図4:ステージX方向移動時の定盤変位 (水平方向)
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図5:ステージX方向移動時の定盤変位 (上下方向)
アクティブ除振対策後の振動測定結果
図6~8にアクティブ除振装置上の振動データを示す(青線)。床振動データと比較すると振動の増幅域を持たず、低周波数から除振されていることがわかる。結果、装置の振動許容値をクリアし、また全周波数域に亘って良好な振動環境を構築することができた。
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図6:アクティブ除振対策前後 (X方向)
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図7:アクティブ除振対策前後 (Y方向)
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図8:アクティブ除振対策前後 (Z方向)