特許機器株式会社 特許機器株式会社

振動・騒音・磁場Q&A

振動

振動対策を行う上でどのような情報が重要となりますか?

振動の大きさを把握することはもちろんのことですが、周波数別の特性、構造物の応答特性、加振源の加振力特性、伝搬経路(加振源との距離)、また物理的な条件として対策に伴い発生する構造変更上の許容範囲(高さなどの寸法、負荷荷重、対策装置の設置スペース)など、他にも非常に多くの情報が検討に必要となります。

振動対策の方法について教えてください

対策を行う対象によっていくつかのパターンに分類されます。詳しくは「技術情報」をご参照下さい。

機器の加振力とは何ですか?

機器の内部で発生する振動的な力を加振力(励振力)と呼び、代表的なものに以下のようなものがあります。

  • 回転部の不釣合質量による慣性力
  • 往復質量による慣性力
  • 内燃機関のトルク変動
  • 脈動、etc

機器加振力による振動影響について検討するためには、周波数分析された加振力データが必要となります。加振力データは機器メーカーから入手することを基本としていますが、提示がない場合は実測により求めるか、過去の類似機種のデータを基にした推定値を用います

振動の評価方法にはどのようなものがありますか?

対象とする振動の種類(有感振動、居住環境、生産装置などを対象とした微振動環境、etc)によって様々な評価方法があります。詳しくは「用語集(振動・騒音の評価)」をご参照下さい。

振動データにおいて、加速度振幅、速度振幅、変位振幅の間にはどのような関係がありますか?

正弦振動において変位振幅をyo、周波数をf(角周波数ω(=2πf))として、時間tに関する変位yを表すと、y=yo sinωtとなります。速度vは変位の時間的変化ですので、v=(dy/dt)=ωyo cosωt=ωyo sin(ωt+π/2)となります。また加速度aは速度の時間的変化ですので、a=(dv/dt)=-ω^2yo sinωtとなります。以上より、速度振幅をvo(=ωyo)、加速度振幅をao(=ω^2yo)とすると、yo、vo、aoの間にはao=ωvo=ω^2yoの関係があることがわかります。この関係を利用して、ある周波数に対する加速度、速度、変位振幅を一つのグラフ上で読み取ることができるようにしたものがトリパタイト図です。

加速度振福
固体音と透過音の違いは何ですか?

設備機器等に起因する振動が建物躯体を伝わり、壁や床を放射面として発生する音を固体音と呼ぶのに対し、空気中の伝搬音が壁や床などの遮蔽物を通り抜けて聞こえる音を透過音といいます。

ビル環境における設備機器の振動・騒音対策について、御社ではどのような対応が可能でしょうか?

躯体に設置する設備機器(ビルマル、チラー、ポンプ、ファン、室内機関係、配管・ダクト、変圧器、発電機)等を対象に、事前のシュミレーション検討(発生振動予測~防振性能別の対策後予測)、適切な防振装置の選定、また現場で発生したクレーム事案に関しましても調査測定から対策立案、実施まで、トータルソリューションをご提案しております。お気軽に、お問い合わせください。

発電機運転時に振動・騒音障害が発生しています。本体に防振装置は装着されていますが、何か対策はありますか?

発電機の場合、加振力が大きく発生するため、防振装置能力が不足している可能性があります。また、付帯設備として煙道が繋がっていますので躯体と煙道の縁切りが必要です。

ポンプ運転時に振動・騒音障害が発生しています。本体に防振装置は装着されていますが、何か対策はありますか?

ポンプには付帯設備として配管が繋がっています。配管による振動影響として、ポンプ本体から伝わる振動、水が流れることによる脈動などがあります。対策としては、フレキの導入・パイプサイレンサーの導入・躯体との縁切り(防振対策)が必要です。

現在、設備工事を請け負っています。ある室内に、振動に対して敏感な装置を設置することが予定されており
(振動により機能障害を生じる装置。嫌振機器)、設備機器の振動影響が懸念されています。どのように取り組むべきでしょうか?

嫌振機器は通常その機器そのものの動作保証を行うにあたり、目標スペック(振動許容値)を持っています。まずはそのスペックを把握する必要があります。また、その嫌振機器の設置場所において、設備機器が稼働していない状態で振動測定を行い、現状を把握することも必要です。そして設備稼働後の振動予測を行い、その測定結果により、設備機器に対する必要防振性能を決めたり、嫌振機器に対する除振性能を決めた上で、対策を施す必要があります。

防振材の種類(金属スプリング、ゴム等)によって何が異なりますか。

使用する防振材の種類によって固有振動数が異なります。この固有振動数が防振装置の性能に大きく関係しています。防振装置は、防振材の持つ固有振動数より低い周波数の振動は軽減することができず、また近い周波数では共振現象を起こすこともあります。そのため、対象となる振動の周波数よりも低い固有振動数の防振材を選定する必要があり、この固有振動数が低いと、性能の高い防振装置ということになります。

人の動作を原因とする振動問題に対し、どのような検討を行えばよいでしょうか。

人の動作や人数、建物側の質量などの情報から、発生する振動を予測する事が可能です。予測された結果に対して必要な対策機器を提案いたします。床振動予測ツールのページから概略値を求めて頂き、対策機器の詳細は各営業所へお問い合わせください。

この度、ある精密な分析機器を導入する予定です。設置場所の床強度は十分あるように思われますが、
事前に振動環境を確認する必要はありますでしょうか?

人に対する振動障害(有感振動)と異なり、精密機器が対象とする振動のレベルは感じることができない非常に小さなレベルです。頑丈な床に思われても、それぞれの機器には許容できる振動値がありますので、振動に対する感度が高い機器の場合、微小な振動でも許容値を超えているケースは十分あり得ます。

また許容値内に収まる環境であっても、どのような周波数成分が卓越し、許容値に対する余裕はどの程度あるのか、といった情報を把握しておくことも後のトラブルを未然に防ぐために重要です。例えば機器の運用に障害が発生した場合、事前の測定結果から振動環境に問題がないことがわかっていれば、原因から床振動を除外して(機器自身の問題、音圧影響など)、無駄な時間を浪費せずに対策検討を進めることができます

現在運用している精密機器にエラーが発生し、原因がわからず困っております。機器本体の振動調査を行って頂くことは可能でしょうか?

機器本体の振動調査も承っております。設置場所の床振動環境(周辺の加振源)から、機器本体上の振動値、増幅特性、フレーム構造などの応答特性、機器動作条件別の測定、機器のエラー発生状況との相関性確認、等々を行い、原因を特定していきます。この結果から最適な対策方法をご提案させて頂きます。また結果的に振動が関係ないと判明した場合でも、その時点で切り分けができ、他の要因検討へと速やかに移行できます。

騒音

騒音問題に対してなぜ振動対策が必要なのですか?

構造体中を伝搬してきた可聴周波数帯域の振動により、床や天井、壁を放射面として発生する騒音を固体音といいます。その伝搬媒体であるコンクリートや鉄骨における減衰が小さいために騒音発生域が広く、非常に小さな振動でも大きな騒音を発生することが特徴です。固体音の場合、原因は振動であるため、発生源から構造体への入力点、及び伝搬経路上における振動絶縁が有効な対策方法となります。

ホテル客室の最上階でブーンという音が一晩中聞こえます。何か対策はありますか?

屋上にキュービクルがある場合、設備機器が運転していなくてもトランスは電気が流れています。トランスの振動が原因と考えられます。現状、ゴム防振が装着されていると思いますが、能力不足と考えますので防振対策が必要です。

現在発生している騒音が振動によるものかどうか(固体音)、どうすればわかりますか?

固体音であるのかどうかを確認するためには、騒音が発生している居室で振動と騒音を両方測定し、互いのデータの相関性について分析します。振動が原因である場合、発生源、振動の伝搬経路、構造物の応答特性などの調査を行い、最適な対策をご提案させて頂きます。

固体音(床振動や壁振動に起因して発生する音)の聞こえ方に何か特徴はありますか。

機器の運転による直接音と比べると、固体音には以下のような特徴があります。

  • ・扉などでの遮蔽により小さくなりづらい
  • ・指向性が低く、どこから聞こえているのか判断しづらい
  • ・聞く場所によって大きさの異なる音だまりがある

このような騒音が発生している場合は固体音である可能性が高く、加振源となっている機器の防振対策が有効な解決策となります。

周波数別の音の聞こえ方の違いや、騒音対策に当たって注意すべき点などがありましたら教えて下さい

低周波音を例に挙げますと、各種文献では可聴域(下限周波数)は20Hzと書かれていますが、個人差もあり、よほど敏感な人でない限りは20Hzを音として認識することは難しいようです。20Hzでは音として聞こえないが圧迫感を感じると表現されることもあります。ズンズンというような表現をされる重低音は30Hz~80Hz程度の周波数ですが、この30Hz辺りから「音」と認識する人が増えてきます。また人間の耳に最も聞こえやすく感じる周波数は数kHzの帯域になります。このように周波数によって音の特徴は異なり、低減したい周波数帯域によって必要な防振性能も変わってきます。

また発生音が直接的に聞こえている音であるのか、それとも固体音であるのか、この点によっても対策方法が大きく異なり、検討すべき重要なポイントと考えられます

見極め方を間違えると費用対効果が著しく損なわれる恐れがありますので、適切な対策を講じるために、早い段階でご相談を頂くことが重要です。詳しくは最寄りの営業所までお問い合わせください。

騒音の評価方法にはどのようなものがありますか?

音の種類や対象とする建物用途などにより様々な評価方法(評価曲線)がありますが、一例として、一般的によく使われることが多いNC曲線を下図に示します。NC曲線ではオクターブバンド分析後の音圧データ(C特性)をグラフ上にプロットし、最大のNC数(すべてのバンドのレベルが収まるNC数)を求めます。

オクターブバンド

また固体音の場合、以下グラフにより振動加速度データから固体音の評価(NC評価)を行うこともあります。(※一定の仮定条件有り )

様々な環境に応じて許容される騒音レベルも異なると思いますが、目安となる指標はありますか?

種々の環境における許容目安の例を下図に示します。

参考文献:日本建築学会編 「建築設計資料集成1 環境」

磁場

磁場とは何ですか?

磁気力が及ぶ空間を磁場(磁界)といいます。磁気力は電荷を有する粒子の運動によって発生します

磁場(磁界変動)の発生源として一般的にはどのようなものがありますか?

一般的な環境では、交流磁場の発生源として送配電線や受変電設備、電気製品(商用電源周波数)、直流変動磁場の発生源として自動車やエレベータなどの磁性体移動に伴うもの(低周波の揺らぎ)、また自然界では地磁気などがあります。その他、直流方式の鉄道路線周辺では架線(軌道)の電流変化に伴う磁場影響(ランダムな変動)がよく見られます。

磁場が与える影響について教えてください

電子線を応用した装置(露光装置や電子顕微鏡など)では磁場の影響を受けやすく、許容レベルを超えると加工不良や画像歪みなどの障害を発生します。当社ではこれらの分野を対象とすることが多いですが、磁場影響としてはその他に医療関係(MRIや生体磁界計測)、また高磁場レベルになると磁気記録メディア、生体への影響といったことが考えられます。

磁場対策の種類にはどのようなものがありますか?

大きく分けて2種類あります。一つはパーマロイなどの高透磁材料で対象物を囲い内部全体への磁場影響を減衰させる磁気シールド対策(パッシブ型)、もう一つは対象領域に設置した磁場センサー信号を検出し、周囲に構成したコイル(フレームに挿入)から逆位相の磁場を発生させて変動磁場を抑制する磁場キャンセラー対策(アクティブ型、下図)です。当社ではアクティブ磁場キャンセラーを取扱っており、最大で数十分の1から1/100程度の磁場低減が可能です。

その他

振動・騒音環境の目標値はどのあたりに設定すれば良いでしょうか?一般的に推奨されるランク・値はありますか?

人を対象にした場合の目標値は、建物や用途毎に指針・ガイドライン等に沿って振動・騒音のレベルを設定する必要があり、建物の設計者が発注者との合意形成の過程において定めるものです。一般的であるかどうかについては求められる環境によって異なります。設備機器・電子顕微鏡などの機器を対象とした場合の目標値は機器メーカーから入手する必要があります。

過去の事例を元に、建物用途毎に多く選ばれる基準、ランクをご紹介することは可能です。
詳細は最寄りの各営業所までお問い合わせください。

振動・騒音の調査は行っていますか?

振動・騒音の調査に始まり、対策案が見いだせる場合は具体的な対策機器、施工方法、導入後のメンテナンスまで一貫したご提案が可能です。既存建物における調査や、また新築で建物を設計する前の基本計画の段階から調査、対策立案に関わり総合的なご提案を行うことも可能です。

詳細は最寄りの各営業所までお問い合わせください。

各種振動対策を行うに当たり、どのくらいの費用が必要か示してもらう事は可能でしょうか?

ご相談頂く内容に応じて、特許機器で対応可能なものと、発注者様や建設会社様でご対応頂くものに分かれます。計画の初期段階でご相談を頂くことにより、振動対策について総合的な見地から、対策方法や所掌範囲を整理して行くことが可能です。不要な調査・検討を減らし全体の予算を適切に執行していくことにもつながります。

詳細は最寄りの各営業所までお問い合わせください。

PAGETOP
PAGE TOP