ホテル熱源機械室固体音対策事例
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- ホテル地下階に設置の熱源機器に起因する固体音対策
- ホテル地下階に設置の熱源機器による固体音が上階客室にて発生。 機械室には多数の機器が設置されていたが、測定調査により影響の大きい機器を絞り込み、対策を実施、一定の効果を得た。

対策のポイント:事前対策が重要
高級リゾートホテルで要求条件が厳しく、主要な機器について一定の効果を得たものの、その後、他の機器についてもクレームが続き、追加対策を繰り返すこととなった。
竣工後の対策では限界があり、事前対策の重要性を示す事例である。
原因:機器、及び配管には一応の防振対策は施されていたが、騒音が発生している状況
地下階に設置の熱源機器運転時、直上階の客室にて騒音(固体音)が発生。機器,及び配管には一応の防振対策は施されていた。初回の詳細調査で主要な振動源を特定し、対策を実施した。
■主要機器と防振仕様
吸収式冷温水機:ゴムパッド
ボイラー:ゴムパッド
コージェネ発電機:スプリング
水冷スクリューチラー:スプリング
給排気ファン:スプリング
ポンプ類:スプリング
変圧器(300~750kVA):ゴム
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図1:地下機械室平面図
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図2:1階平面図<地下機械室直上階>
対策:初回調査時に実施された内容 1)~3)
1)機械室天井に支持された給気ファン(軸流ファン)が吸込圧により引っ張られ、防振架台(他社製)のストッパー金具が接触し、振動伝達していた。(図3)
この様な場合、水平方向にバネを設けて逆向きに引っ張るか、或いは、バネ上に質量を付加し、バネを硬くする方法が考えられるが、現実的に対処が難しく、天井から切り離し、床支持に変更した。
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図3:吸込圧によるストッパー金具の接触
2)ボイラー燃焼時に煙道から笛吹き音(ピュー音)が発生。(図4、5) 煙道は高温で防振吊が困難なため、天井支持を切り離し、床支持に変更した。
3)その他、天井支持のシロッコファンについても、ストッパーの接触があり、調整した。また、配管系支持部にスプリングパッドを追加。(当初は配管にゴムパッド巻き)
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図4:ボイラー燃焼時の発生騒音(周波数分析データ):客室騒音
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図5:ボイラー燃焼時の煙道振動(周波数分析データ):天井固定部振動
効果:一定の対策効果は得られたが、事後対策では費用面や施工上の制約等により限界がある
初回の調査に基づく対策により、客室騒音はNC-40→30にまで改善した。(図6)
NC-30であれば、NC評価の客室基準内にはあるが、静寂な環境に建設されたリゾートホテルで、騒音に対する要求が厳しく、気になる騒音があると次々にクレームとなる状況に陥った。また、対策により騒音が低減すると、逆に残存する騒音が目立ち、新たなクレームとなった。
その後、他のポンプ類,トランス,空調機,スクリューチラーなども対象となり、追加対策を行い、ある程度の効果は得たものの、事後対策では費用面や施工上の制約等により限界があり、クレームは完全には解消していない。
■障害内容と対策
・ポンプ類:配管振動による固体音→配管ゴムパッド巻きから支持部にSP追加。125Hz帯5~8dB減。
・トランス:磁励振動による固体音→キュービクル底面のフレームを補強。120Hzの振動が5~10dB減。
・空調機:ファン振動による有感振動→Fan Box上面にConブロックを載せ、板振動を抑制。直上階床振動34Hzで10dB減。
・スクリューチラー:冷媒菅振動による固体音→冷媒管支持部の防振。対策後の効果は未確認。
本件の様に、機械室の直上に客室が配置される場合、配管,ダクトなども含めて基本的に天井から支持は取らず、床から防振支持する。また、機械室全体を防振浮床にするといった配慮も必要であろう。(図7参考)
なお、その後建設された同系列ホテルでは、熱源機械室を別棟とし、客室から離す配慮がなされた。
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図6:対策前後の客室騒音データ
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図7:直上に重要居室がある場合の対策概念図