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老人ホームにおける、給湯チラー固体音(騒音)に対する防振対策

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事前の調査結果に基づきチラー本体に防振装置を設置
屋上設置給湯チラー運転時に直下居室においてNC15レベルで発生していた騒音を低減するため、事前の調査結果に基づきチラー本体に底面の遮音も兼ねた防振装置による対策を行い、ほぼ無音となり対策効果が得られた事例である。

対策のポイント:夜間の暗騒音が極端に小さい環境で発生した機器の固体音対策

高級老人ホームでテレビ等の音もなく各室のエアコンもほとんど使われないため夜間の暗騒音が極端に小さく、微音で固体音が発生していた。屋上機器の基礎等を乾電池で加振しただけでも当該居室で打撃音が知覚される程であったので念のためコンクリート架台により透過音対策も講じた案件である。

現象と防振対策内容

■現象
給湯チラー稼動時に直下居室内で発生していた騒音は廊下側ではあまり聞き取れなかったが、ベッド横の壁面に近いほど聞き取れる、やや低い音と少し高い音であることが分かった。
また、給湯チラー直下側の浴室では、給湯チラーの影響がより明瞭であることが分かった。
なお、居室内では体感振動はなかった。

給湯チラーの稼動状況は、夜間電力の時間帯(22時以降)に貯湯タンク内の湯量により連続的に稼動し供給するしくみとなっていた。
直下居室の給湯チラー稼動時におけるNC値は、壁前のNC-20が最大で、廊下側ではチラーの稼動状況に関係なくNC-15であった。


■防振対策内容 (給湯チラー+ラインポンプ+配管(2系統))
チラー本体: ゴムパッド⇒上部架台コンクリート+スプリング防振設置、に変更

  • 図1:直下居室における振動の周波数分析結果(測定点4F-1)

  • 図2:直下居室における騒音の周波数分析結果(測定点4F-2)

  • 図3:測定点概略図-4階<直下居室・浴室>

  • 図4:測定点概略図-5階屋上機械廻り<直上階>

効果:防振対策の効果は、良好であることが確認できた

【騒音測定結果】
対策前後の居室の騒音データをNC曲線にプロットし、体感的な評価を行った結果を下記にまとめた。図5、6に直下居室壁前と浴室窓ガラス前のNCグラフを抜粋して示す。

■騒音測定結果<騒音値(床上1.2m)・NC値※1/dB(A)>
・4F-2 直下居室壁前騒音 対策前:NC-20/27.5dB(A)→対策後:NC-16/24.6dB(A)
・4F-3 浴室窓ガラス前騒音 対策前:NC-30/36.2dB(A)→NC-27/34.3dB(A)

※1 NC値は通常5刻みの値で読み取るが、微小な差を確認するため今回は1刻みで読み取っている。
※2 上記のNC値の評価は、人の動作音・比較的強い降雨(対策前)及び機器の自己ノイズの影響があったため、それらの外乱影響(1kHz帯以上)を除いた評価である。

  • 図5:騒音測定結果4F-2 直下居室壁前

  • 図6:騒音測定結果4F-3 浴室(チラー直下)

測定結果及び図5より直下居室壁前における対策後のNC値及びdB(A)値は対策前よりも低減していることが分かった。体感的にも対策前に体感された『少し圧迫感を伴ったやや低い音』と『比較的高い音』とも明らかに低減していることが分かった。

前回の調査でチラーの影響が明瞭であった浴室の窓ガラス前では、図6のNCグラフの63Hz帯成分で明確な低減が見られ、以前感じた『圧迫感を伴った低い音』がほとんど感じないことが分かった。

チラー稼働時にもNC-15と静穏で、給湯チラーの影響が小さい直下居室の廊下側でもNC値は15と変化はないが、dB(A)値がわずかではあるが減少傾向が見られる。

事前調査時の報告書で、直下居室における騒音環境を改善するには給湯チラー稼動時騒音の卓越成分を暗騒音レベル以下にすることが必要で、壁前の最大値NC-20に対してNC値で5以上の低減が必要と述べていたが、対策後はNC-16でほぼ目標を達成できた。

以上のことから、直下居室及び浴室の騒音に対する遮音を兼ねた防振対策の効果は、良好であることが確認できた。

<用語説明>
NC……Noise Criteria 1957年、Beranekによって提案された室内騒音評価手法。騒音のオクターブバンド分析結果をNC曲線にプロットし、曲線に対する最大値を読み取り評価値とする。
Aスケール…A-Weighted Sound Pressure Level 聴感補正回路を通して読み取る騒音レベル。この値は感覚量とよく対応する。以前は「ホン」という単位で表されていたが、現在は「dB」または「dB(A)」で表す。

  • 図7:給湯チラー対策後

  • 表1:種々の環境における騒音の推奨値
    <引用文献:日本建築学会編 建築資料集成「環境」>

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