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走査型電子顕微鏡(SEM)の直流磁場障害対策

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SEM設置場所の磁場環境改善(アクティブ磁場キャンセラ)
オフィスビル内のデモルームに設置されたSEMについて、周辺鉄道路線に起因する磁場影響をアクティブ磁場キャンセラで低減し環境改善

対策のポイント:直流方式の鉄道路線付近では常時大きな磁場変動が発生

在来線路線の電車では直流方式が多く採用されているが、これらの線路近傍では運行時間帯中、架線電流の変化に伴う不規則な磁場変動が常時発生し、電子線を利用する精密装置が影響を受けることがある。

原因:対象ビル付近に位置する複数の鉄道路線

対象装置が設置されているビルと鉄道の位置関係を「図1」に示す。
ビルの南東方向、約150mに最も近い地下鉄路線があり、この他にも複数の鉄道路線が付近に位置している環境である。直流方式の電車では付近の走行時に関係なく、架線(軌道)を流れる電流が常時変化しており、この漏洩磁場が影響し、周辺の磁場環境が乱れる。磁場影響は距離に(累乗)比例して減衰する傾向にあるが、線路に近い位置では、その影響は非常に大きく現れる。


【走査型電子顕微鏡(Scanning Electron Microscope)】
走査型電子顕微鏡は電子線を絞って電子ビームとして対象物に照射し、対象物から放出される2次電子等の各種電子を検出することで対象を観察する。主に高真空中に対象物を置き、電子線で試料を走査することで像を表示する。
電子ビームを使用するため、高分解能装置では磁場影響を受けやすい。

  • 図1:設置ビル周辺地図

対策・効果:アクティブ磁場キャンセラにより直流変動磁場を1/100以下に低減

対象装置設置場所に磁場キャンセラ用コイル(W:1300×D:1300×H:2000 mm)を設置し、直流変動磁場に対して最適制御を行った後の効果確認結果を表1に示す。磁場キャンセラOFF時は地下鉄の影響が顕著に現れ、主に鉛直(Z)方向において不規則で大きな磁場変動を生じている。これに対してアクティブ磁場キャンセラON時は1/100以下のレベルまで低減し、大きな効果が得られていることがわかる。電子顕微鏡では設置環境条件として1mGauss前後のレベルを設定していることが多いが(※今回のケースでは0.5mGauss)、キャンセラーOFF時:最大12mGaussに対し、ON時:最大0.06mGaussと、設置条件を十分満足するレベルにまで環境が改善された。

このように、電子線を使用する高精度装置を設置する際には、振動だけでなく磁場環境にも注意する必要がある。
シールドルーム等の施工(大規模工事、費用)と比較し、アクティブ磁場キャンセラは対象装置の周囲にコイル等を設置するだけで大きな改善効果が得られる。

  • 表1:磁場キャンセラの効果(直流変動成分)

  • 図2:磁場キャンセラの効果(直流変動磁場)

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